近年、ビジネス界隈で注目されている言葉に「コーチング」があります。経営者・管理職の方でも「聞いたことはあるけれど、具体的な内容は知らない」という方もいらっしゃると思います。「どんな効果があるの?」「どんなことをするの?」という疑問もありますよね。
当記事では、コーチングの意味や効果、基礎に関して図解を用いてわかりやすくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
コーチングとは?
「コーチングとは?」この質問をコーチングを提供しているコーチにしても、様々な答えが返ってきます。その理由は、コーチによってコーチングの意味・定義が異なるからです。
コーチングの意味・定義はコーチによって様々
コーチングの意味・定義がコーチによって異なる理由は、コーチングで得られるものがあまりに多岐に渡るからです。
私の最初のコーチは「前向きな気づきを与えるもの」と説明されていました。2人目のコーチは「壁を突破するもの」と言われていました。
使う場面によって、ビジネスの場で使うのであれば「課題解決」に用いることもできますし、子育てに使うのであれば「コミュニケーション法」ととらえることもできます。
コーチングとは、「自分で自分を育てる方法」
私は「コーチングとは?」と聞かれると、「自分で自分を育てる方法」と答えています。
コーチングの基本として「答えは必ずクライアントの中にある」という考え方があります。これは、クライアント自身が「自分の中に答えがある」と、自分自身を信じることから始まります。そして、自分で決めた目標に向かって行動するからこそ、納得度の高い結果を得ることができます。
コーチのサポートを得ながら、自分自身との対話を通して、自分を育てることにより、目標達成や、パフォーマンスの向上が実現します。
そのため、経営者が「会社をもっと成長させたい」「新しい事業を成功させたい」と考えた時、コーチングは力強いサポートとなってくれます。
もともと、コーチングはスポーツで使用されていました。スポーツの場面でコーチが選手を助けるように、ビジネスの世界でもコーチが経営者を支えます。
コーチングの効果
コーチングの効果は一般的に、目標達成を「より高い目標を、より高く、より楽しく実現する」と言われています。
<図>
コーチングは経営者や管理職にこそ効果的
経営者や管理職についている方は、以下のような状況に置かれています。
- 自分のキャリアや進退について相談できない
- 立場上、気軽に人に相談できない
- 求められている物が大きい(ストレスも大きい)
そのため、本音で相談できる相手がいない方も多く、同じ課題を一人で解決しなければならない場面も多々あります。
そんな時、思考の整理をサポートしてくれるのがコーチです。移り変わりの早い今の時代、「正解がない時代」だからこそ、与えられたアドバイスやコンサルティングといった知識だけではなく、経営者自身が腹落ちして納得して進んでいく必要があります。
コーチをつけない経営者はスパイクを履かないサッカー選手
欧米諸国では、経営者にはあたりまえのようにコーチがついています。グローバル化するビジネス界において、コーチをつけずに経営をしていくことについて、以下のように例えている動画がありました。
「コーチをつけない経営者は、スパイクを履かずにサッカーの国際試合に出ているようなものだ」
経営者がコーチをつけるのが、今後より一般的になってきた際に、コーチをつけていない経営者はビジネスの場で生き残っていけるのでしょうか?
コーチングの基本
コーチングは、主にコーチ(質問者)とクライアント(回答者)の2名で行います。近年ではチームコーチングといって、コーチ1人に対し複数名のコーチングで実施されるものもあります。
コーチングのセッションでは、多くの場合、最初に目標を共有して達成に向かって進んでいきます。計画を一緒に立てたり、壁にぶつかったら一緒に対処法を考えたり、その進行をチェックしたり。毎回のセッションの最後には、次のセッションに向けての約束を設定して行動を支援することもあります。
つまり、コーチングは、経営者が会社を成功に導くための信頼できるパートナーです。
パートナーだからこそ、コーチだけが頑張ってもうまくいきません。クライアントからの信頼や本音の声が聞こえてこそ、コーチングが効果を発揮するというものです。
ビジネスの世界では、常に新しい課題が生まれます。コーチングを活用することで、経営者はこれらの課題に対してより効果的に取り組むことができます。
コーチングの仕組み
コーチングの仕組みとしては、コーチがクライアントに質問をすることによって、クライアントが自分で考え、考えを言葉にしてコーチに伝えます。回答を受けて、コーチがまた質問をしてクライアントが回答する、という対話で成り立っています。
この対話を行うことで、クライアントの思考は以下のように進みます。
- 質問されると頭の中が動き出す
- 質問を受けてこれまで考えたことのないことを考える
- 未知の自分に気付ける
- 言葉にすることで自分の中での理解が更に深まる
コーチは、クライアントを上記の状態に導ける質問を考えて言葉にすることによって、クライアントが自分にとって最良の答えを見つける手助けをします。
コーチングで使う質問の特徴
コーチはクライアントに対して、クライアント自身が答えを見つけられるような質問をしていきます。
通常、日常会話では、質問者は質問者が聞きたいことを質問します。
たとえば、クライアントが「会社の売上を上げたい」という悩みを抱えていた場合、日常的な会話であれば、「なんで?業績が悪いの?大変なの?いつまでにいくら?」のような質問をするかと思います。これは、質問者が、自分の興味を満たすための質問です。
一方、コーチングでは、質問者であるコーチは、クライアントのためになる質問をします。
同様に、クライアントが「会社の売上を上げたい」という悩みを抱えていた場合、「売上を上げることで、得られるものは何ですか?」「売上を上げることで、何が変わりますか?」といったように、より本質的なことや、目標の先にある未来に目を向けていきます。
そうすることで、クライアント自身が気づいていなかったことに気づけるほか、他の方法を見つけることもできます。本当に得たいものを得るためには、「売上を上げる」以外の方法がある場合もあるのです。
コーチングのまとめ
本記事では、コーチングの多様な定義、その効果、基本的な考え方について説明してきました。コーチングは、個々のコーチによって異なる定義があり、それはコーチングの幅広い利用と影響によるものです。
たとえば、ビジネスの場面では問題解決の手段として、また個人の成長においては自己発見のプロセスとして用いられます。コーチングで重視すべき考えは、「答え」が常にクライアント自身の内に存在するというものです。
コーチングは経営者や管理職にとって大きな力となってくれます。コーチは目標達成や課題解決に向けた行動を取るための信頼できるパートナーになります。コーチングに興味を持たれた方は、ぜひ自分にあうコーチを探してみてください。